「特定不妊治療」を受ける際には「助成金制度」を利用して負担を軽減 !
「不妊治療」には保険が適用されるものと、自費診療になってしまうものがあります。より高度な医療技術が必要になればなるほど費用もかさんでしまい、保険も適用されなくなって来ます。少しでも経済的負担を減らすためにも公的な「助成金制度」を上手に利用したいものです。
「助成金制度」について詳しく調べてみることにしましょう。
◆対象の条件
まずは、対象者の条件や対象となる治療について見てみることにしましょう。次の条件を満たす治療や人が対象になります。
☆対象になる治療
「体外受精」と「顕微授精」が助成金支給の対象になります。この二つの治療方法を特定人治療とここでは呼びます。
☆対象者
1.特定不妊治療以外の治療法では妊娠の見込みがない、あるいは妊娠の可能性が極めて少ないと医師に診断された法律上の婚姻をしている夫婦
2.治療期間の初日において妻の年齢が43歳未満の夫婦
3.夫婦の年間所得を合計して730万円以下の場合
→こちら注意が必要なのが、年収ではなく所得であるということです!
☆所得とは
対象者の所得制限がありますが、ここで規定されている所得はいわゆる「収入」とは異なります。所得とは収入(年収)から必要経費を差し引いた金額になります。
会社員の方は、毎年年末調整を行なったときに「給与所得の源泉徴収票」が配布されますので、一度確認してみて下さい。所得に当たるのは、この給与所得の源泉徴収票に記載されている項目の中で「給与所得控除後の金額」が所得に当たります。つまり、収入(年収)から給与所得控除金額を差し引いた金額が「所得」になります。
◆給付内容
助成金の給付対象者や対象になる治療が分かりましたので、次に給付の内容について確認してみましょう。
☆初回の治療費
初回の治療費に対する助成金は30万円を限度とされています。但し、凍結胚移植(採卵を伴わないもの)等は助成金の対象となりません。
☆1回当たりの治療費
1回当たりの治療費の助成金は15万円が限度とされています。凍結胚移植(採卵を伴わないもの)等については7.5万円が上限になります。
☆通算助成回数
通算助成回数は、初めて助成を受けた時の治療開始日の女性の年齢によって違って来ます。
女性が40歳未満の場合は、6回が限度とされていますが、40歳以上のときは通算3回が限度とされます。
ただし、平成25年度以前から既に特定不妊治療の助成金を受けている場合は、平成27年度までに通算5年にわたり助成を受けている場合は助成金支給の対象になりません。
☆複数回の治療を受けた場合
複数回の治療を受けた場合は、「治療終了日」が早い順番で承認されます。初回(1回目)として助成を受けた治療よりも前に終了していた治療を、後から承認されることはありませんので、注意が必要です。
◆自治体独自の助成金
また、自治体独自で特定不妊治療に対して助成が行われています。
例えば、東京都の場合は、以下のような助成がありますので、ご参考までにご紹介しておきます。
☆治療1回当たりの助成金額
以下の金額を上限として支給されます。また、初めて助成を受ける場合は、カッコ内の金額を上限金額として支給を受けることが出来ます。
・治療ステージA 20万円(30万円)
・治療ステージB 25万円(30万円)
・治療ステージC/F 7.5万円
・治療ステージD/E 15万円(30万円)
また、ここで規定されている治療ステージは、以下のようになります。
・治療ステージA: 新鮮胚移植の実施
・治療ステージB: 凍結胚移植の実施
・治療ステージC: 以前の凍結胚を解凍して移植
・治療ステージD: 体調不良等によって移植を中止
・治療ステージE: 受精出来ない。
・治療ステージF: 良い状態の卵子が得られない。
◆補足説明
国からの助成金と地方自治体独自の助成金について見てきましたが、ここで、支給対象となる年齢や回数等について、より明確にするために、以下の通り補足説明をさせて頂きます。
・妻の治療開始年齢は、「特定不妊治療費助成事業受診等証明書(第2号様式)」に記載されている治療開始日時点の年齢になります。
・通算の助成回数については、初回の助成認定のときの治療開始時点の年齢で固定されることになります。例えば、妻が39歳までに初めて助成を受けた場合は、40歳を超えても通算回数は6回のままでカウントされることになります。
・助成を受けた回数が上限に満たない場合でも、妻の年齢が43歳以上で開始した治療は全て助成の対象とはなりません。
・平成26年4月に制度変更が行われましたが、この変更に伴う通算回数のリセットは行なわれません。過去の助成回数が全て合計されます。
・他の自治体(道府県・指定都市・中核市)で助成を受けていた場合は、その回数も助成回数に加算されることになります。
◆申請方法
助成金の申請には、申請期限がありますので、事前に確認しておく必要があります。申請期限は、国と自治体で違っていますので、国と自治体双方の申請期限を前もって調べておくことが大切です。また、このとき必要書類についてもあわせて確認しておくことをお勧めします。
申請手順は、以下の通りになります。
1.初めに国へ助成金の申請を行ないます。各都道府県が窓口になります。
2.「受診証明書」を国からもらい、受診医療機関に証明書の作成を依頼し提出します。
3.申請から約2ヶ月後に国から結果通知が届きますので、国からの助成金を受け取ります。
4.自治体の助成金額から国からの助成金額を差し引いた金額を、自治体に申請します。
保険適用外の不妊治療を行なわれるときには、国や地方自治体の助成金制度を上手に利用されることで、経済的な負担をかなり軽減することが出来ます。
しかし、自治体によって異なる可能性もありますので、詳しくは実際にお電話なり訪問するなりで詳しく聞いてみることをおすすめします。